A Quarter Century Ago Today 25年前のロサンゼルス日記

25年前にロサンゼルスに滞在していた時の日々の記録。25年後のその日に公開していきます。

Maya

Feb. 26th, 1998

 

 いつもNIFTYを使ってメールの送受信をしています。が、25日にあったNIFTYの定期メンテナンス以降、Compuserve経由のNIFTYの接続が出来なくなってしまいました。
 今日知ったことなのですが、NIFTYのホームページから自分のメールの送受信もできます。ということで、メールを読むことは出来たのですが、日本語環境の問題で日本語メールを発信することが今できません。このメールはいつ送信できるのでしょうか....?

 ロサンゼルスで行われたMayaセミナーに参加してきました。日本でもほぼ時を同じくして行われたと思います。アメリカでは2月末から出荷も始まっています。

 Alias/Wavefront社が、Alias、TAVそしてExploreといったCGソフトのノウハウを結集して作った全く新しいソフトウェアは、洗練されているという印象を受けました。Windows-NTバージョンも近い内に出荷するとのことですが、時期に関して明確な情報は得られませんでした。


 まずこのソフトは、キャラクタ・アニメーションとそして視覚効果に重点が置かれています。そしてその特徴として、Performance(性能)、Flexibility(柔軟性)、Productivity(生産性)が挙げられていました。

 

- Performance
 キャラクターのスケルトンを使っての動きや、放物運動、接触計算、パーティクルなどの物理シュミレーション、そしてパーティクルの計算が実に速く処理されています。Octainを使っていたので、ハードウェア性能は高いのですが、それを考えてもハードウェアのパフォーマンスを最大限に引き出していると感じました。SGIの傘下になった恩恵でしょうか。
 爆発効果とともにオブジェクトをバラバラにして飛ばしたり、キャラクターが歩いた後の地面を変形させて足跡を残したりするというデモンストレーションをやっていました。(この足跡にはかなり驚きました。)
 この辺りのモジュールにはTAVのダイナメーションの影響を色濃く感じました。

 

- Flexibility
 MEL(Maya Embedded Language)という言語を使っていて、これによりユーザーは手続き的な作業も可能です。(Prismsの発想に似ています。) また、OpenMaya C++ APIというものがサポートされていて、ソフトの内部もかなり公開されています。
 これを使ってプラグ・インの開発もできます。既にタイタニックで使われたArete社の波などを生成するプログラムや、Neutral ZoneというSoftimageからMayaへのコンバータ、言わずと知れたRendermanのribファイル出力のためのMTORなどのプラグインが出てきそうです。

 

- Productivity
 ユーザ・インタフェースは、私の印象では予想以上にAliasに似ていると感じました。HotKeyと呼ばれる強力なショート・カットを持っていて、細かいところまで生産性が考慮されていました。
 最も驚かされた機能の一つが、Sculpt Surfacesです。これはNurbsモデリングをする際に、彫刻をするような感覚で3Dブラシを使い、面を押したり引いたり出来るものです。これにより以前にも増して感覚的なモデリングが可能になると思います。
 これと似たインターフェイスで、Nurbsの頂点のWeight調整が3Dペイントのように行えます。これによりNurbs面が変形するとき(キャラクターの間接や、布の表現など)の調整が非常にやり易くなります。
 但しこれはMaya Artisanというモジュールで、Basicモジュールには含まれていません。この他、視覚効果のためのモジュールMaya F/Xも別モジュールです。

 レンダリングのインタフェースは、Exploreを思わせるところがありました。Shader Networkというものを使って、視覚的に質感生成が出来ます。ただ、レンダラーに関してはそれ程特筆することは見当たりませんでした。


 βバージョンをディズニーやワーナーなど、20社近くがそれなりに使っていたので、割合と安定しているのではないかと思われます。Disneyの恐竜映画"Dinosor"のMayaでのテスト映像を見ることが出来ました。Mayaが本編で利用されるかは分かりません。基本的にはSoftimageを使っているという噂を聞いています。
 またKleiserというプロダクションでは、Mayaを使って70mm8pの3Dライ"Spiderman"(ユニバーサル・スタジオ・フロリダ?)の映像を作っています。これも楽しみです。


 実際に使ってみなければ最終的なことは何とも言えませんが、キャラクター・アニメーションならソフトー・イメージという構図を大きく崩す可能性を持つソフトウェアです。

 とにかく早く使ってみたいソフトです。