A Quarter Century Ago Today 25年前のロサンゼルス日記

25年前にロサンゼルスに滞在していた時の日々の記録。25年後のその日に公開していきます。

Production Tour

Nov. 20th, 1997

 

 C君が我が家に居候しています。今は夕飯のしゃぶしゃぶを食べ過ぎたと言って、カーペットに寝転がって牛になっています。

 先日書いた"StarshipTroopers"というSF映画ですが、日本でもブエナビスタから配給され、公開されるようです。CGの制作ですが、ソニー・ピクチャーズ・イメージワークスが100以上のCGシーンの大半を制作し、こぼれたわずかのシーンをILMが作ったようで
す。


 さて、今日はスクウェアUSAデジタル・ドメインの見学に行ってきました。この豪華ツアー(と言っても自分達でアレンジしたのですが)に参加できたC君はかなりラッキーです。

 まずスクウェアUSAですが、オフィスは私のアパートから歩いて行ける所にあります。現在、来年3月に発売予定のプレイステーション用ゲーム「パラサイト・イブ」の制作をメインに行っていました。日本人スタッフ、アメリカ人スタッフの共同体制で、それなりに苦労もあるようです。遅れたスケジュールを取り戻すため、日本人スタッフの大半は、プロジェクトを抱えたまま、開発能力の高いハワイのオフィスへ移って行った後でした。
 「パラサイト・イブ」のためのムービーを見せてもらいましたが、スクウェアUSAでの制作だけではなく、リズム&ヒューズサンタバーバラ・スタジオにも制作を発注していました。
 まだテストレンダリング段階で、クウォリティ的にまだちょっというシーンもありましたが、かなり楽しみなできにはなっていました。

 個人がほぼ個室の開発ルームを持っていました。SGIマシン、インパクト上でAliasとPhotoshopを使っている人が大半でした。ただ、会社側でソフトウェアを限定することはないそうで、フーディーニTAVLightwaveなども使っているということです。
 各マシンは光ファイバーネットワークで結ばれていて、レンダリング・サーバとして、16cpuのチャレンジOnyx2インパクト・タワー(Indigo2 Inpactが8台山積みになっていました。)など50cpu以上がありました。

 スクウェアUSAの副社長、****さんに色々とお話を伺いました。現在、日本のスクウェアFFⅧの開発、そしてハワイではFFⅨの開発も始まっているそうです。ハワイでは、噂になっているフルCG映画のためのR&Dも進んでいるとのことです。ハワイでのスタッフ約200人の内、100人以上は映画の方に関わっているようです。制作にはやはりMAYAが使われていて、現在上がっているテスト用のスチルのCGキャラクタは、ぱっと見た感じでは実写に見える程のクウォリティになっているとおっしゃっていました。

 ****さんは、最終的な成果物であるゲームを自分達で売れる、すなわち下受けにならないですむということは、非常に大きなメリットだとおっしゃっていました。開発スタッフを大量に抱えても、内部で仕事を調節して発生させることができ、スタッフを遊
ばせないですむということは、確かに大きなことだと感じました。


 続いてデジタル・ドメインです。

 デジタル・ドメインは、かって倉庫であった建物を使ったオフィスになっていました。ここには、CGの制作設備だけではなく、実写の撮影スタジオもあり、造形、美術スタッフもいました。
 直に公開される話題の映画、タイタニックのCGシーンの一部も見てきました。噂通り船上の人のCGは非常によく出来ており、説明を受けなければ一度見ただけではCGか実写かの区別はつかないほどでした。

 アニメーションのチェック用に、PerspectionというPCペースのディスクレコーダを使っていました。価格が安いということで、10セット程入っているとのことです。圧縮はかかっているそうですが、画質的には問題がないとのことです。
 本当にたくさんのソフトウェアがネットワークで使えるようになっていました。ちなみにネットワークはFDDIだそうです。エイリアス、ソフトイメージを含むこれらのソフトウェアの多くが、デジタル・ドメイン使用の特別バージョンになっていました。

 デジタル・ドメインは、映画、CMをメインとして手がけていて(ゲーム関係も少しだけやっているようですが)、SGIマシンは400cpu程になるそうです。タイタニック制作中の最盛期には350人程のスタッフを抱えていたようですが、現在は150人程だとい
うことです。やはりコンスタントに一定量の仕事をこなしていくことは非常に難しいようで、デジタル・ドメインはよくレイ・オフの噂が流れます。また、実際にレイ・オフも行われています。
 デジタル・ドメインOBは、スクウェアUSAなどかなり多くの所に散ってるようです。


 両方の見学を通して感じたこととしては、とにかく映像のプロに徹していることを感じました。物事を広くやることもまた大切だと思いますが、ある一分野に徹することもまた重要です。自分達が生きる分野においてプロに徹し、そのための設備を充実させ
ていました。
 どちらも我々とは立場が異なり、直接の比較はとてもできませんが、開発の現場とは別にR&D部門を持ち、またシステム管理部門を持つという環境はうらやましく感じました。


 細かい質問などは、C君まで。(^_^;